終活とは、何をすることなのか
行政書士とい京子事務所が主催する「相続・遺言・終活セミナー」でお話ししている「45歳から考え実行する終活」。
その内容をこのコラムで、シリーズでご紹介していきます。
「終活」として具体的に何をすればいいのか、をお話する前に、「終活の極意」をまず初めにお伝えいたしましょう。
なぜならこの「終活の極意」とは、終活として「何をすべきか」を考えるときの「柱」となる考え方だからです。
「終活の極意」 ズバリ! それは・・・
「終活の極意」それは、
「お金のかかることや面倒なことは、自分の世代で始末をつけておくこと」です。
言い換えれば、「次世代(自分の子どもたち)が、親の看取りや死後の手続き、相続に際して、困ったり、争ったりしないようにしておくこと」。
それが終活として、あなたがしておかなければならないことなのだと考えて下さい。
子どもさんのおられない方は、子どもさんがいたらしてもらうようなことを、誰にしてもらうかを考えて準備をしましょう。
キーワードは「お金のかかること」「面倒なこと」「自分の世代」の3つ
@自分の「終末期」についてはどのようにしてほしいのか、それにはいくらの費用がかかるのか。
A死亡届の提出をはじめ、葬儀・埋葬・納骨、各種の精算・名義変更・停止・解約などの手続き、遺品の整理など、自分の死後に遺族が行わなければならない手続きや作業にはどのようなことがあり、それにはいくらの費用がかかるのか。
B自分が亡くなった後の相続手続きとして、どのようなことが必要となり、それにはいくらの費用がかかるのか。
こういった項目について、手続きの内容や費用についてきちんと実態を知っておくことがまず必要です。
そして、費用のかかることについては、その費用分を通常の財産とは分けて管理しておくか、費用がかからないような方法を指定しておく、費用がかからないように自分で始末をつけておくこと。
遺族にとって面倒な手続きをなるべく少なくするために、自分が元気なうちに始末をつけておくこと。
それが、遺族が困ったり争ったりしないようにするコツなのです。
終末期医療の在り方や葬儀についてなどは、本人の希望がわからなければ、遺族は迷います。
どうすればよいのかについて遺族の間で意見が分かれ、感情のもつれが相続争いに繋がっていくことにもなりかねません。
費用がかかることや面倒なことが重なると、遺族のストレスも大きくなります。
ちょっとしたことがきっかけで遺族間の争いに発展してしまうこともよくあることなのです。
そして3つ目のキーワード、「自分の世代で始末をつける」ことをお勧めしているのは、特に「お墓」の問題などについては、夫婦でよく話し合って決めておくことが必要だと思うからです。
お墓のことについては、別稿で詳しくお話ししますが、「自分が入るお墓はあるから安心」なのではありません。
自分が入った後、誰がそのお墓を引き継ぐのかを考え、管理に係る費用や手間のことも考慮しておかなければなりません。
遠方のお墓を近隣の霊園に引越す、あるいは永代供養墓に引越すことなどが必要ならば、それは自分の世代でやっておかなければなりません。
終活の極意・・それは「お金のかかることや面倒なことは、自分の世代で始末をつけておくこと」なのです。
関連ページ
- 費用と手間の負担は誰が
- 「終活の極意」は、「お金のかかることや面倒なことは、自分の代で始末をつけておくこと」。 では、費用と手間は誰が負担することになるのかについて、遺言書を例にご説明しましょう。
- なぜ「45歳からの終活」か
- えっ、終活を45歳からって、早すぎない? いいえ、早すぎません。人生90年時代に備えましょう。
- 「終活」とは、自分らしい生き方を自ら創ること
- 「終活」なんてまだ自分には関係ない? 死を意識することには抵抗がある? 死は誰にでも訪れます。だからこそ、最期の時まで自分らしく生きたいと思いませんか?
- 身辺整理は体力のあるうちから
- 「実家の片づけが大変だ」とよく話題になりますね。自分の子どもにはそんな思いをさせないように、体力のあるうちから、自分のモノは片付けていく。 片づけが苦手な私だからこその「コツ」お伝えします。
- 終末期医療についての希望
- あなたは「自分の死が近い時期に、どんな医療を受けたいか」、誰かにきちんと伝えていますか? 本人の希望がわからないと、家族は重い決断を迫られ、大きな負担を抱えることになってしまいます。
- エンディングノートで伝えておきたいこと
- エンディングノート、「知ってはいるけど書いてはいない」という方が多いと思います。 「書く気になれない」というあなたのハードルを越えるコツ、書くべきことの優先順位、エンディングノートを書く意味とその効力についてお伝えします。
- 「親亡きあとの備え」は早い時期から
- 障害のある子どもさんがおられる場合、親亡き後の問題にどのように備えるのかが課題です。それぞれのご家庭の事情に合わせて、、情報収集をしながら、早い時期から検討し、備えていくことが必要です。
- 相続の済んでいないものは、自分の代で済ませておく
- 亡くなった親の名義のままの不動産がある方。 先送りにしないで、自分が元気なうちに兄弟姉妹と話し合って相続登記を済まさないと、子どもの代で、大変なトラブルに発展する恐れがあります。
- 不動産を相続した時の注意点
- 不動産を相続した後、その財産が次世代への重い負担となってしまわないようにするための、3つの注意点をお話しましょう。特に3つ目の注意点は必見ですよ。
- 友人・知人と権利関係が絡むものは解消しておく
- 友人と共有名義の別荘やボートを持つ方、友人の会社設立時に頼まれて出資した方、元気なうちに、友人・知人と権利関係が絡むものは解消しておくことをお勧めします。
- 商標(会社名や商品名)も財産です
- 「知的財産権」という言葉を聞いたことがありますか? 著作権や特許権、実用新案権、意匠権、商標権などを「知的財産権」と言い、これらも相続の対象となる「財産」なのです。 ちゃんと相続手続きをしないと、財産として保護されなくなってしまいますよ。
- LGBT、同性カップルのための任意後見契約と遺言書作成
- LGBT、同性カップルの婚姻は、日本では認められていません。性的マイノリティカップルが、現在ある制度を活用して、法律婚カップルと同様の権利を得るための方策について、ご紹介します。
- 公営合葬墓と永代供養墓はどう違う
- 福岡市でも市立霊園に合葬墓を建設する検討が始まりました。公営合葬墓と永代供養墓はどう違うのか、全国の公営合葬墓にはどんなものがあるのか、まとめてみました。