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自分の最期のときを、想像したことがありますか?

あなたは「自分の死が近い時期に、どんな医療を受けたいか」、誰かにきちんと伝えていますか?

 

東京都の「高齢者施策に関する都民意識調査」で、20歳〜65歳までの2600人余りから得た回答では、60%以上の人が「誰にも伝えていない」と答えています

 

Q)「死が近い場合に、どのような医療を受けたいかという意向を誰かに伝えていますか」

 

A)誰にも伝えていない     64.8%
 口頭で家族に伝えている   29.5%
 書面に意思を記載している  1.5%

 

89歳で亡くなった私の父の場合は・・・

尊厳死宣言

私の両親は、共に70歳を超えたころだったでしょうか、私と弟の2人を実家に呼び、「夫婦で尊厳死協会に入った。死期を引き延ばすための延命治療はしないでほしい。ただし、痛いのだけはごめんだ。」と言い、宣言書を示しました。

 

直前まで元気に活動していた父が、体調不良を訴えて入院した時、痛みを伴う対処療法で1〜2週間延命するか、苦痛をとるためのモルヒネ投与をするか、の決断を迫られました。

 

「尊厳死宣言書」があったので、家族は迷うことなくモルヒネ投与を選びました。

 

入院1日半で父は亡くなりましたが、その1日の間に、私も福岡から東京の病院に駆けつけることができ、叔母たちも連れだって会いに来ることができました。

尊厳死宣言の方法

自分の「終末期医療についての希望」は、家族や周りの人に「口頭」で伝えるよりも、きちんと「書面に記す」ことをお勧めします

 

「口頭」で伝えているだけだと、聞いている家族と聞いていない家族との間で、諍いになることがあります。

 

親の病床での延命治療にまつわる諍いが、相続争いに発展することも間々あることなのです。

 

では、終末期医療についての希望を書面で記す方法には、どんなものがあるでしょう。

 

@エンディングノート

 

一番取り掛かりやすいのは、市販のエンディングノートに記しておくことでしょう。

 

大抵のエンディングノートには、介護が必要になった時や終末期医療についての希望に関するチェック項目や記入欄が用意されています。

 

エンディングノートには、無料でダウンロードできるタイプのものもあります。

 

A「事前指示書」

 

施設入所や入院時には、個々の施設の書式の「事前指示書」への記入を求められます。

 

「事前指示書」は、終末期医療に関する本人の指示や希望と、本人が決断を下すことができない状態に陥った時に、本人の代わりに決断を下す代理人を指名する「医療判断代理委任状」を兼ねた内容になっています。

 

しかし、施設に入る時には7割の人が自分で判断できる状態にはないと言われています。あらかじめ、自分の意思を書面にしておく必要があります。

 

インターネットで「事前指示書」で検索すると、ダウンロード可能な一般向けにつくられた「事前指示書」の書式を見つけることができますので、それを利用することもできます。

 

B尊厳死宣言公正証書

 

公正証書として「尊厳死宣言書」を作成することもできます

 

尊厳死宣言公正証書の原本は、作成後、無料で半永久的に公証役場に保管されますので、本人が証書(謄本)を紛失しても、再交付を受けることができます。

 

公証人に支払う手数料が1万3000円程度かかります。

 

C尊厳死協会への入会と「尊厳死宣言書」への署名

 

日本尊厳死協会の宣言書は、シンプルに3項目。

 

・不治の状態で死が迫っていると診断された時には、死期を引き延ばすためだけの延命治療はしない。
・ただし苦痛を和らげるための、十分な緩和医療は行う。
・回復不能な植物状態に陥った時には、生命維持措置は取りやめる。

 

年会費または終身会費を支払います。

 

詳しくは、日本尊厳死協会  http://www.songenshi-kyokai.com/

子どもが「これでよかったんだ」と思えるように準備するのが親の愛

先日、介護・医療・法律の各専門家による「看取り」の実践に関するシンポジウムに行ってきました。

 

「北海道介護福祉道場」代表の菊池雅洋さんが、言われたことに胸を打たれ、深く賛同しました。以下に記します。

 

リビングウィル(生前の意思)やエンディングノートを記録し始める時期に、「早すぎる」という時期はない

 

親の死に対して悲壮感を持ち、グリーフケア(死別による悲嘆の中にいる人へのサポート)が必要になるケースの大半は、親の死という事象そのものより、「死に方がこれでよかったのか」という疑問から生じている

 

・子を持つ親の立場で考えた時、自分の愛する子に、親の人生の最終ステージの生き方を決定するという「重い決断の下駄を預けて、子に精神的な負担をかける」という状態にしない、という意味がある。

 

子どもが親に対して、この世で最期にできることは、「親の望む形で、親の人生の最終ステージを過ごせるように、子としてその決断をし、看取ること」である。

 

本当はどういう終末期を過ごしたかったのかを確認できるからこそ、その希望に沿った人生の最後の親孝行ができたと思えるのではないか

 

だから・・死について語ることをタブー視しない。
     判断できる間に、親と子が話せるようにすることが大事

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