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友人・知人と権利関係が絡むものは、早めに解消しておきましょう

友人と共有名義の別荘やボートをお持ちの方、友人の会社設立時に頼まれて出資した方、こういった友人・知人と権利関係が絡むものは、元気なうちに解消しておくことをお勧めします。

 

そのままにしたままあなたが亡くなったら、遺されたご家族は、ろくに会ったこともない親の友人・知人相手に、面倒な手続きをしなければならなくなります。

共有物の処分はややこしい

前回のコラム「不動産を相続した際の注意点」では、「不動産を共有名義とするのは避けましょう」とお伝えしました。

 

なぜなら、共有名義の不動産を売却する時には、持ち分割合には関係なく、共有名義人全員の同意(了解)がなければ売却や活用など(共有物に変更を加える行為)ができないから(民法251条)、ですね。

 

この共有物の処分のややこしさは、不動産に限りません。
自動車やプレジャーボートなどの動産でも同じことです。

 

共通の趣味を持つ友人同士で、プレジャーボートや別荘などを共有名義で所有しているという方がいらっしゃいますね。

 

趣味の時間も大切にして、人生を楽しむということはとても大事なことです。

 

でも、友人との共有物を所有したままあなたが亡くなったら、その共有物の所有権をめぐって、様々な「面倒なこと」が表面化します。

 

例として、Aさんがトレッキング仲間の友人B氏、C氏と、温泉権利付きの別荘を共有していた、としましょう。
友人同士で集まって、年に数回、別荘に泊まってトレッキングに出かけ、バーベキューや温泉を楽しんでいました。
家族が参加することはなく、いつもAさん、B氏、C氏と同年代のトレッキング仲間たちでの別荘泊でした。

 

元気だったAさんが突然亡くなりました。
Aさんの相続人は妻と長男、長女、次女の4人です。
亡くなったAさんの相続財産の中には、当然「別荘の共有持ち分」も入っています。

 

でも、Aさんの趣味のための別荘でしたから、相続人の誰もが自分がその別荘の共有持ち分権を相続したいとは思っていません。
しかし、財産の中のある一つの物だけを相続放棄するということはできません。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も含め、「すべての財産を放棄すること」だからです。

 

こういった場合、共有者であるB氏とC氏に、A氏の「共有持ち分」を共有割合に見合う価格で買い取ってもらえれば、A氏の相続人たちは、現金を分け合うことができます。

 

しかし、A氏の相続人たちは、自分たちはろくに会ったこともない故人の友人たち(B氏C氏)に、「共有分を買い取ってくれませんか」という交渉をしなければなりません

 

買取価格も含め、すんなりと“A氏相続人側”と“B氏・C氏側”の双方が合意できた場合にはよいですが、なかなか折り合いがつかないなどということにもなりかねません。

 

 

別荘やプレジャーボートなど、友人と共有名義の不動産や動産をお持ちの方。
まだまだ元気だと思っていても、70歳になったらいつ何があってもおかしくないと思って、「自分の友人・知人と権利が絡むものは、早めに解消しておくこと」をお勧めします。

 

あなたから友人たちに提案して、別荘を売却するなり、誰かひとりが他の人の持ち分を買い取るなり、とにかく共有関係を解消しておくことが重要です。

 

遺された家族を、面倒な手続きで煩わせないために!

友人の会社の譲渡制限株式を持っている場合

友人が会社を立ち上げた時に頼まれて出資した、という方もよくおられますね。

 

頼まれて出資しただけで、経営には参画していないという方も多いようです。

 

中小企業の場合、市場で売買のできない「譲渡制限株式」であることがほとんどだと思います。
「譲渡制限株式」とは、会社を経営する上で、好ましくない者が株主となることを防ぐために、その株式を譲渡しようとする時には会社の承認を必要とするものです。

 

A氏が、友人であるB氏の会社の譲渡制限株式を持っていて、A氏が亡くなった場合、A氏の相続人はこの「譲渡制限株式」を相続することになります。

 

A氏の相続人は、会社に対して「譲渡制限株式の買取請求」をすることができます
また会社の方からも、どのような人物かをよく知らない相続人に株式が渡ることに懸念がある場合など「譲渡制限株式の売渡請求」をすることができます

 

しかし、売買価格についてすんなりと合意できないということもあり得ます
当事者間の協議で売買価格の合意ができずに、裁判所に「株式売買価格決定申請事件」の申し立てをすることになるかもしれません。

 

いずれにしても、相続人にとっては「譲渡制限株式」を相続することは、面倒な手続きを相続することに他なりません。

 

友人の会社の「譲渡制限株式」を持っている方は、早めに友人の会社に対して、株式を買い取ってくれるように申し出て、現金化しておくことをお勧めします。

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